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チームラボの新作は、入り込める小宇宙!?

Casa BRUTUS に、掲載。(Aug 21, 2015)

快進撃が止まらないチームラボ。8月21日からは銀座でも新作をお披露目中です。
昨年47万人を動員した、日本科学未来館の展示『チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地』。その勢いのまま、この夏も各地で展覧会を開催しているチームラボ。現在、ポーラ ミュージアム アネックスでも新作がお披露目だ。彼らが開発したインタラクティブ4Dビジョンを使った作品はこれで3つ目。今作の楽しみ方を、代表の猪子寿之さんに指南してもらった。

Q 新作のコンセプトは?

LEDを3次元上に配置して、立体の映像表現をできるようにしたのがインタラクティブ4Dビジョンなんですが、せっかく立体にできたなら、いつか中に入ってみたいなと思っていたんです。それを実現したのが今作。およそ6万個のLEDがひしめく宇宙のような空間です。これまで同様、鑑賞者がスマートフォンで専用のWebにアクセスし、その中にある”流星”や“ビッグバン”といったアクションを選んでスワイプすると、LEDの光に変化が起きる。訪れた人によって宇宙が構成され、刻々と変容していく作品です。

Q インタラクティブ4Dビジョンについて詳しく教えてください。3次元化された映像表現なのに、“4D”と呼ぶワケは?

例えば、3D映画は現実には2次元で、メガネを掛けることで視覚的に3次元のように感じられるだけなのに“3D”と呼びますよね。でも僕らがやっているのはリアルに3次元の立体物。現実の次元がひとつ上だから、じゃあ“4D”だよね、と(笑)。まぁ、これは冗談で、真面目に話すと時間軸を4つ目の次元と考えているんです。変化しない彫刻を3次元と考えると、映像やインタラクティブな作品は時間も関わるので、数学的には4次元。この考え方は僕らが見つけたわけじゃなくて、昔からあるもの。それを映像技術によって現実化するシステムを作ったというだけです。

Q 今作では人の介在も大きなキーワードですね。

これまでの芸術鑑賞では他人は邪魔な存在だったと思います。モナリザを観るときも、周りにいる人はみんな邪魔でしょ?(笑)。つまり、重要なのは僕とモナリザ。個人と作品の関係性しかなかった。それがデジタルを使ったインタラクティブな作品では、他人がいたほうが面白い。例えば今作で“ブラックホール”というアクションを選んでスワイプすると、中にいる人を中心にブラックホールが生まれたりするんです。“流星”も人に向かって飛んでいくし、作品を介して人と人に新たな関わりが生まれていく。これは今までのアートになかったことです。

Q 次元の考え方や関係性の発見。新作がより楽しみになりました。

今作はまだまだ解像度が粗くて、初期のファミコンみたいなもの。6000万個のLEDがあればなぁ……! 近い将来、もっと密度は上がっていくはず。とにかく今は、4Dビジョンの新しい試みを体感してほしいですね。

インタラクティブ4Dビジョンって?

チームラボが開発したスマートフォンなどでコントロールできる、立体映像システムによって作られた立体ディスプレー。過去にはクリスマスツリーや花火をモチーフにした作品が発表されている。

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