コンピューター上で創り上げた仮想の3次元空間を、日本の先人達の空間認識を探りながら、新たな解釈で、平面化した絵画表現。物語空間を12の視点から切り取り、空間に配置された12台の巨大なディスプレイで、現実空間に展開する。
遠近法は時間軸がない瞬間の空間の客観的で幾何学的な平面化だが、これは西洋的な技法で、日本では絵巻物に代表されるように、奥行きを物語全体の時間軸まで含まれた4次元空間の平面化を発達させた。
日本の美術表現は、遠近法と違い、空間の物理的な情報を客観的に捉えることは犠牲となったが、焦点がないがゆえに、鑑賞者の場所も特定されない。また、物語とは関係のない場所へ思いをはせやすかったり、鑑賞者が登場人物になりきりやすかったりと、客体と主体が曖昧で表裏一体の物語空間を出現させる。
コンピューター上の仮想の3次元空間を、日本の絵画表現のように平面化する試みによって、日本の先人達が、空間をどのように視覚的に認識していたか、世界をどのように捉えていたか、ということを探る実験でもある。


